心理的ホメオスタシス

ホメオスタシスとは、

生体が変化を拒み、一定の状態を維持しようとする働きのこと。「恒常性」とも呼ばれます。

ホメオスタシスに関わっているのは、自律神経系や免疫系、ホルモンを生成する内分泌系です。

たとえば、私たち哺乳類は、周囲の気温が高くなっても、それに合わせて体温が上がったりしませんよね。

自律神経が機能し、汗をかいて体温を一定に調節しています。

このように、ホメオスタシスとは本来、生物学の用語ですが、人間の心理について使われることもあります。

心理学におけるホメオスタシスとは、

「今のライフスタイルや環境をなるべく維持しよう」という心理です。

心理的ホメオスタシスには、良い面と悪い面があります。

良い面は、私たちの生活に安定をもたらしてくれること。

心理的ホメオスタシスがなければ、A社に入ったと思えばすぐに飽きてB社に転職したくなるというような、落ち着きのない不安定な生き方になってしまいますよね。

悪い面は、自分を変えたいとき、新しい挑戦をしたいとき、心理的ホメオスタシスが足かせとなってしまうこと。

せっかく始めたランニングが三日坊主に終わってしまうのも、勉強する習慣がなかなか身につかないのも、ホメオスタシスが従来の習慣を維持しようとするのが原因なのです。

そのため、「自分を変えたい」と考えているときは、ホメオスタシスをいかに「解除」するかが重要。

そこでカギとなるのが、ホメオスタシスにおける「コンフォートゾーン」という概念です。

「コンフォートゾーン」とは、心理的ホメオスタシスが維持しようとする従来の環境・ライフスタイルです。

“快適な領域”。コンフォートゾーンにいれば、まさに「温かい布団」に包まれるように、無理をせず快適に暮らしていくことができるのです。

「朝はギリギリまで寝ている」がコンフォートゾーンだとしましょう。

この状態から「朝6時に起きてランニングする」習慣を始めようとしても、コンフォートゾーン外の “不自然な” 行動なので、ホメオスタシスが働き、「ギリギリまで寝ている」状態からなかなか抜け出せないのです。

ホメオスタシスを解除し、新しい習慣を身につけるためには、コンフォートゾーンを移動させる必要があります。

先の例だと、「朝6時に起きてランニングする」がコンフォートゾーンになれば、「朝6時に起きてランニング」は当たり前の行為となり、むしろ寝坊するほうが気持ち悪いと感じるようになるのです。

どうして自分は出来ないんだと嘆くことはないのです。

原理がわかっていれば習慣を変えることが難しくなくなり、自分が今できないのは心理的ホメオスタシスが働いているからだと思えば楽になります。

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